緩和ケアとは?
WHOにより緩和ケアの定義が2002年に発表されています。
それによると緩和ケアとは、
「生命を脅かす疾患に関連する問題に直面している患者とその家族の痛み、その他の身体的、心理社会的、スピリチュアルな問題を早期に同定し適切に評価し対応することを通して、苦痛(suffering)を予防し緩和することにより、患者と家族の Quality of Life;QOL(生活の質、生命の質)を改善する取り組みである。」
となっております。ここで、強調したいことが2点あります。一つは、「生命を脅かす疾患」であれば、対象は癌に限定されるわけではなく、非癌(神経筋疾患や慢性呼吸器疾患や慢性心不全などいわゆる良性疾患)も緩和ケアの対象になるということ。もう一つは「疾患の早期から」緩和ケアが提供されるべきであるということです。ですから、緩和ケアは終末期だけの考えではなく、発病したときから必要とされる(ギアチェンジされた緩和ケア→シームレスな緩和ケア→パラレルな緩和ケア)と考えています。2007年4月施行の「がん対策基本法」にも、 疾患の早期から緩和ケアが提供される体制を作ると明記されています。
緩和ケアは、単なる身体的な痛みやその他の不快な各種身体症状を和らげるだけでなく、社会的な痛みや精神的な痛み、スピリチュアルな痛み(自分は何故、このような業病にとりつかれて、他の人よりも早く死なないといけないのか?何も悪いことはしていないのに...)から生じるつらさや不安を和らげることを目的とします。そのようなsufferingを可能な限り緩和することにより、患者本人とそのご家族のQOL(生活の質)を最期のときまで、最善状態で保つことが緩和ケアの目標です。